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株式会社ネクストスケープ
マイクロソフト製品と親和性が高い ERP パッケージの導入により会計データの一元管理と営業状況の見える化を実現
Microsoft Dynamics 365 Business Central の標準機能を最大限に活用し短期間でのリリースを実現
経営判断のスピードアップとペーパーレス化を推進
企画提案・開発・保守のすべての工程において、企業に最適な IT ソリューションを提供し続ける株式会社ネクストスケープ(以下、ネクストスケープ)。同社では、既存システムのリプレイスに伴い、ボトルネック解消と経営状況の見える化を実現すべく、Microsoft Dynamics 365 Business Central(以下、Dynamics 365 Business Central)を導入。プロジェクト管理をベースにバックグラウンドで処理された会計データを自動的に集約する仕組みを構築し、業務効率化と経営のスピードアップを推進しています。
【会社概要】
マイクロソフト製品に関する高度なノウハウが強み
ネクストスケープについて教えてください。
ネクストスケープは、Microsoft Azure を中心としたクラウド環境上にシステムを構築し、様々な業界業種のクライアントに寄り添った IT ソリューションを提供する SI 事業を展開する会社です。
昨今リアルタイムを含む有料コンテンツの配信が増える中で、デジタル著作権管理製品の「Multi DRM Kit」の導入支援であったり、MR 技術を活用し独自で研究・開発をしたティーチングロボット製品「RoboLens®」の販促活動であったり、SI 事業のみならず新たな IT 事業の領域拡大にも取り組んでいます。また近年では、スポーツ自転車向けの盗難防止アラーム & GPS 追跡デバイス「AlterLock®」の提供も開始しました。
2022年7月には、MR 技術を使ったソリューション事例が、マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー 2022 において「Device アワード」を受賞し、昨年に引き続き 2 年連続での受賞となりました。
【利用状況】
Dynamics 365 Business Central をベースに会計業務の抜本改革を推進
今回、JBS の提案およびサポートにより導入したシステムについて教えてください。
ネクストスケープとして全社的な ERP パッケージ導入は初の試みとなります。そこで導入したのは、Dynamics 365 Business Central です。
従来は自社開発したプロジェクト管理システムをベースに、業務処理を行っていました。このプロジェクト管理システムの主要モジュールとして利用していた Web ブラウザ用プラグインの Microsoft Silverlight が EOL(サポート終了)を迎えたことが、ERP パッケージ導入に至った直接的なきっかけです。
いくつかの ERP 製品について内外製分析を行った結果、当社の規模感と最もフィットしており、Team Members ライセンスをはじめ柔軟なライセンスにより低コストで利用できるという判断のもと、Dynamics 365 Business Central を選定しました。
また、以前から Microsoft Power Platform の各ソフトウェアを導入・活用してきた経緯もあり、これらのマイクロソフト製品と Dynamics 365 Business Central の親和性の高さも重視しています。
Dynamics 365 Business Central の導入で実現したかったことは何ですか。
最も実現したかったことは、会計データの一元管理と営業状況の見える化です。これまではプロジェクト管理のシステムから出力された Excel シートに、別の会計パッケージで計算されたデータを手作業で再入力し、業務処理を行っていました。
そのため、打ち間違いや転記漏れなどのケアレスミスが避けられず、各プロジェクトの進捗状況や収支を把握できるようになるまでには長いタイムラグが発生していました。また、詳細な原価計算ができていないことも課題でした。
これらの課題を解決し、会計業務のリアルタイム化とペーパーレス化を目指しました。
【導入背景】
JBSが持つ国内随一の Dynamics 365 Business Central のノウハウとトップクラスの実績を評価し依頼
JBS がシステム導入・構築を支援するに至った経緯を教えてください。
株式会社ネクストスケープ
DX推進室 浅香 克則氏
ネクストスケープ全体としては SI 事業において JBS とプロジェクトを協業した実績がありますが、社内システム導入に関しては今回が初めてのお付き合いです。
ちょうど JBS と協業していた頃、社内システムの切り替えが必要なタイミングに差し掛かっていました。当社では前述したプロジェクト管理システムをはじめ、ほとんどの社内システムをフルスクラッチで開発してきたため、ERP パッケージをベースにカスタマイズを行ってきた経験がありません。そこで、Dynamics 365 Business Central の構築ノウハウや技術力に強みを持っていた JBS に協力を依頼する運びとなりました。
実際、Dynamics 365 Business Central の国内導入事例もほとんどない中で、トップクラスの実績を持っている JBS の存在感は際立っており、とても心強く感じました。
【導入プロセス】
わずか半年のタイトなスケジュールでありながらスムーズにプロジェクトを進行
Dynamics 365 Business Central の導入・構築はどのような流れで行われましたか。
おおまかには下記のスケジュールで導入・構築が進められました。
- 2021年10月:Dynamics 365 Business Central の提案、コンセプトトレーニング
- 同年11月:要件整理、要件定義(CRP※)
- Conference Room Pilot:実機を見せながら要件を確定していく手法
- 同年12月:基本設計
- 2022年1~3月:環境構築(Dynamics 365 Business Central 標準機能のパラメータ設定)、アドオン機能の設計・開発・単体テスト、結合テスト、データ移行支援
- 同年4月:本番稼働開始
システム構成図
JBS のサポートはどのような形で行われたのですか。
約半年間という短期間で Dynamics 365 Business Central の導入・構築を完了するため、ネクストスケープと JBS の両社で、「Dynamics 365 Business Centralの標準機能に業務を合わせ、アドオン開発を最小限に抑える」というプロジェクト方針を策定しました。
その後のサポートについてはコロナ禍ということもあり、定例ミーティングを含めてすべてオンラインで行いました。
当初は、オンラインのみで本当に双方のコミュニケーションが上手くできるのかという不安があり、JBS からも「万が一の際はオンサイトで対応します」というお言葉もいただいていたのですが、結果としてその必要はまったくありませんでした。
JBS は対面と変わらずプロジェクトをスムーズに進行し、タイトなスケジュールでありながら、予定どおりに Dynamics 365 Business Central の稼働まで導いてくれました。
Dynamics 365 Business Central を導入する上で、工夫したことはありますか。
JBS が主導となって、ネクストスケープで独自開発したワークフローシステムと Dynamics 365 Business Central の連携を行いました。これにより、Microsoft Power Automate をベースとした仕組みで、稟議申請・承認のワークフローを Microsoft Teams の中だけで完結することができ、さらにはペーパーレス化の推進も可能になります。
なお、当社は将来的に Dynamics 365 Business Central のカスタマイズを内製化しようと計画しています。この意向に沿うべく JBS は、今回のプロジェクトを通じてネクストスケープ側との適切な役割分担を設定するほか、キーユーザートレーニングやユーザートレーニング支援を実施し、スキルトランスファーに努めてくれています。
【導入効果】
会計データが自動的に集約され、営業状況の見える化も前進
システムの導入効果について教えてください。
プロジェクト管理をベースとしつつ、バックグラウンドで処理された会計データが自動的に集約されるようになり、データのリアルタイム性が向上しました。これにより、当初からの目標としていた営業状況の見える化も大きく前進しました。
システムが稼働を開始してからまだ 4か月と日が浅く、定量的な効果は算出できていませんが、会計処理を通期でこなした頃には、経営のスピードアップによる収益性改善などの効果もあらわれてくると見込んでいます。
また、Dynamics 365 Business Central とワークフローシステムの連動により稟議申請・承認のプロセスがペーパーレス化できた点について、経営層や管理者層から「利便性が高まり、タイムリーな決裁が可能となった」と高い評価を得ています。
株式会社ネクストスケープ
管理本部 業務管理部 八浪 公輔氏
【今後の展開】
物販を含む事業領域に Dynamics 365 Business Central を拡張
今後に向けたシステムの拡張予定を教えてください。
株式会社ネクストスケープ
システムインテグレーション事業本部
Azureビジネス部 堀越 芙由美氏
Dynamics 365 Business Central 活用の第2フェーズとして、自社サービスであるスポーツ自転車向けサイクルガードサービスの AlterLock® への対応を JBS とともに検討しています。
AlterLock® は、盗難防止アラームとスマホへの通知で大切な愛車を見守るともに、万が一盗難に遭った場合にも GPS で追跡して発見をサポートすることを特徴としており、スマホアプリとともに振動検知センサーと通信機能を備えた専用デバイスを利用します。物販を含む事業領域に Dynamics 365 Business Central を拡張することで、この専用デバイスの在庫管理などを実現したいと考えています。
さらにその先のフェーズでは、基幹システムと CRM の連携による営業活動(パイプラインマネジメント)改善や、その他の業務効率化を見据えた対応を目指しており、JBS と一体となって Dynamics 365 Business Central の高度活用を推進していく計画です。
【JBS への評価】
フィット&ギャップのノウハウを高く評価
JBS への評価をお聞かせください。
JBS のサポート全体を通して、特に優れていると感じたのが ERP パッケージ導入におけるフィット&ギャップのノウハウです。
いつ、どの段階で、どんな役割を担っているキーユーザーを集めてミーティングを行うべきといった段取りも、プロジェクトの初期段階で提示してくれました。これにより業務上 で生じる課題を 1 つひとつ確実に洗い出し、業務現場の納得を得ながら効率よく解消することができました。
「Dynamics 365 Business Central の標準機能に業務を合わせる」という当初からの基本方針を、ぶれることなく徹底できたのは、JBS の貢献があったからこそです。
JBS 担当者コメント
ネクストスケープ様の皆様にも大変ご協力頂き、改めて感謝申し上げます。プロジェクト自体もフルリモートという新しい試みで昨年から実施させて頂いており、JBS としても貴重な体験となっております。引き続き、ネクストスケープ様のご発展へ寄与できればと考えております。
ソリューションセールス本部 ソリューションセールス2部 2課 課長
松永 涼
本プロジェクトは、同業他社案件ではありましたが、ネクストスケープ様独自に工夫されている業務もあり、勉強になりました。また、現状に満足することなく、未来志向にてシステム構築に参画されていた姿勢についても、学ぶべきところが多く、自身のスキルアップにつながる大変有意義なプロジェクトでした。そのような意味においても、ネクストスケープ様にとっても、私にとっても、さらなる高みを目指すようなご支援が、引き続きでるように努力したいと考えております。
ビジョンソリューション本部 Dynamicsプラットフォームソリューション部
ERPソリューション4グループ テクニカルマネージャー
入井 明彦
ネクストスケープ様の基幹システム構築プロジェクトに関わることができ、大変光栄です。最初から最後までネクストスケープ様が業務をパッケージに合わせて標準機能を活用するようにお力添えいただいたおかげで半年間という短い期間でのリリースが実現しました。今後も Phase-2 などでご支援できるように尽力して参ります。
ビジョンソリューション本部 Dynamicsプラットフォームソリューション部
ERPソリューション4グループ
仲野 広大
株式会社ネクストスケープ
代表者:代表取締役社長 小杉 智
本社所在地:東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル22F
設立:2002年4月10日
資本金:1億5001万円
従業員数:95名 (2022年8月1日現在)
事業概要:顧客の新規事業開拓および既存事業発展に最適な IT ソリューションを、企画提案・開発・保守のすべての工程において提供
2022.11.18公開
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