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株式会社日経リサーチ
企画から、要求定義、要件定義、開発、構築、運用保守までビジネスに深く寄り添い
日本経済新聞社グループが注力する新事業に JBS が伴走
企業のサステナブル経営の推進に寄与する調査・評価・分析プラットフォームのサービスをリリース
日本経済新聞社グループの日経リサーチは、持続可能なサプライチェーンづくりに取り組む企業を支援する新サービスとして「日経サステナブルリンク」をリリースしました。これは、共通の質問票を使用し、バイヤー(調査依頼企業)に代わってサプライチェーンの調査・分析・評価を行うプラットフォームです。このプロジェクトをともに推進するパートナーに選定された JBS は、企画から、要求定義、構築、運用保守まで一連の取り組みに伴走しました。こうして実現した同プラットフォームは、バイヤーとサプライヤー(回答企業)、そして日経リサーチのすべてのユーザーにおいて業務負荷軽減やビジネス拡大などの成果に大きく貢献すると期待されます。
今回の事例につきましては、株式会社日経リサーチの以下 3名の皆さまにお話を伺いました。
R&D担当補佐 経営企画室 R&Dグループ部長 兼 コンテンツ事業本部 サステナビリティセンター 日経サステナブルリンク担当
高橋 正剛 氏
サステナビリティセンター 日経サステナブルリンク担当 マネージャー 兼 PIAAC部 マネージャー 兼 経営企画室R&Dグループ
森本 陸 氏
サステナビリティセンター 日経サステナブルリンク担当
川越 万裕氏
【会社概要】
調査にとどまらず企業関連のデータ収集と評価にも強みを発揮
日経リサーチについてご紹介ください。
当社は、マーケティングリサーチとデータベースサービスを事業の主な柱とする、日本経済新聞社グループの調査会社です。世論調査や市場調査、公的統計の調査だけでなく、企業の開示データの収集・加工から、企業調査を通じた企業の非開示データの収集、消費者調査を通じた企業ブランド評価データの収集まで、企業関連のデータ収集と評価にも強みを有しています。
2024年にリリースした「日経サステナブルリンク」の概要を教えてください。
昨今、SDGs の目標達成に向けた持続可能(サステナブル)なサプライチェーンの重要性が高まる中で、その取り組み状況を可視化するための一連のプロセスを支援するプラットフォームが「日経サステナブルリンク」です。日本経済新聞社グループが提供する共通の質問票を使用し、バイヤー(調査依頼企業)に代わってサプライチェーンの調査・分析・評価を行うことで、業務効率化やコスト削減を実現します。
一方でサプライヤー(回答企業)に対しても、これまでバイヤーごとに似て非なる質問票に何度も回答することを求められてきた負荷を軽減します。用意された質問票に一度回答すれば、その評価結果がすべての参加バイヤーに開示されるのです。
このように日経サステナブルリンクは、バイヤーとサプライヤー双方のサプライチェーン評価に伴う調査負担を軽減するサービスとなっています。
【パートナー選定の背景】
社外向けシステム構築の経験不足から伴走型のパートナー支援を求める
日経サステナブルリンクを実現するうえでどんな課題がありましたか。
当社は Web 調査や Excel ファイルを授受する仕組みなど、企業向けアンケートに対応するシステムは活用してきましたが、調査結果や評価結果を個別企業にフィードバックできるダッシュボードなどのサービスは提供できていませんでした。
このニーズに応えられるプラットフォームづくりの構想は以前からあったものの、ビジネスとしての要件を詰め切れておらず、サステナビリティセンターは企画部門であるがゆえに、システムに関する仕様の策定が進んでいませんでした。
そこでプラットフォームづくりに伴走するパートナーを求めたのですね。
社内のみで利用する業務システムはさておき、バイヤーをはじめ社外ユーザーの利用を想定したシステム開発の経験は乏しく、企画から、要求定義、要件定義、開発、構築、運用保守まで一連の取り組みに寄り添ってくれるパートナーは絶対に必要な存在でした。
ただ、パートナー選定で難しいと思われたのは、先にも述べたとおり企画部門である私たちが示す要望は、どうしても抽象度が高くなってしまうことです。システム要件定義に向けた情報が不足した中でも粘り強く私たちの話を聞き、さまざまな提案を行ってくれるパートナーを求めました。
【JBS 選定の経緯】
構想を具現化に導く提案力と機転の利いた対応力、そして確かな開発ノウハウを高く評価
JBS を選定した理由をお聞かせください。
当社がパートナーに対して期待したことをあらためて整理すると、主に次のポイントを挙げられます。
まずは要求定義をはじめ、プロジェクトの最上流から運用保守まで一気通貫での支援体制を有していることです。抽象度が高い要求事項を具体的なシステムの仕様に落とし込んでいくリーダーシップと、企画部門である私たちでは力が及ばないバックエンド側のインフラもしっかり配慮した運用ノウハウを特に重視しました。
次に困難をともに乗り越えていくという気概をもち、ビジネスに寄り添った最適な提案を行ってくれる真摯な姿勢と行動力、柔軟な対応です。私たちに不足しているシステム開発の経験やノウハウを補い、仕様の抜け漏れをしっかりフォローしてくれるサポートを望みました。
そしてエンドユーザーを意識したシステム開発の実践です。ユーザーは当社だけでなくプラットフォームを利用するバイヤー企業、さらにその先にいるサプライヤー企業へと広がっていきます。これらのすべてのユーザーに配慮した、わかりやすく使い勝手の良い UI/UX の設計が求められたのです。
端的に言えば、上記のような要件をトータルに満たしていたのが JBS でした。また、日本経済新聞社をはじめとする豊富なシステム構築実績とともに、Microsoft Azure の活用についても高度な知見を有しており、フルスクラッチ(※)でありながら短期間で実現可能なシステム構築を提案していただいたことも力強く感じました。
- フルスクラッチ:既存のコードやアプリケーションを一切使わずにゼロからソフトウェアやシステムを開発すること
【プロジェクトのプロセス】
JBS の臨機応変かつスピーディな対応により遅滞のないスケジュール進行でサービスをリリース
プロジェクトはどのようなスケジュールで進められたのですか。
プロジェクトは 2023年8月にスタートし、10か月後の 2024年5月に調査部分の機能を先行リリースし、8月の正式リリース後、段階的に機能を改修・追加し、サービスをバージョンアップしています。
もっとも、すべてが順風満帆だったわけではありません。運用時に発生する例外事項を可能な限り想定していたのですが、どうしてもシステム開発段階で漏れが露呈することがあります。そんな場面において、想定しきれなかったパターンを逆に JBS からリストアップしていただいたことで、建設的な議論が進んで手戻りを乗り越えることができました。
また、UI/UX 設計に関してデザイン会社と仕様のすり合わせが必要な場面が生じたのですが、3社が協議する場で、UI で解決すべきか、システム的な機能で解決すべきか建設的な議論ができました。また、技術的に実現可能なデザインになっているかデザイン会社と直接やり取りして調整を図るなど、プロジェクトマネジメントの観点からも大きな貢献を果たしてくれました。
【導入効果】
調査から評価結果の開示までのオペレーションをワンプラットフォームで実現
日経サステナブルリンクのリリースにより、どんな効果が得られましたか。
調査の告知から実施、評価結果の開示まで、一通りのオペレーションをこのプラットフォームで完結して回すことが可能となりました。サービスを提供しながら改善施策を検討し、それを反映したサービスを実施して、ビジネスモデルの再検討につなげていく PDCA が回せるようになったことが一番の成果です。
何より予定通りに 2024年8月末にサービスをリリースできたことは、社内からも高く評価されています。現在では、新たなバイヤー企業の獲得が進むとともに、当社のポータル上にはサプライヤー企業の回答と評価結果開示の実績が積み上がってきています。
実際に本サービスを導入いただいたバイヤー企業からも、サプライヤーの評価結果のサマリー画面や、サプライヤー企業個別の評価を閲覧できる評価レポート画面などに対する高い評価をいただいています。また、「評価レポートを通じてサプライヤーとコミュニケーションする意義をあらためて認識できた」といったコメントも寄せられています。
【今後の展望】
質問票や評価方法の改訂にあわせた機能の見直しを実施
今後の取り組みについても、ぜひお聞かせください。
まずは、引き続きサービスの改善を進めていく方針です。エンドユーザー向けの機能については、バイヤー企業やさらにはサプライヤー企業まで含めた幅広いヒアリングを実施し、得られた意見や要望を踏まえた改修や機能拡充を行っていく予定です。
一方、運用・管理者側の機能としては、今後バイヤー企業を中心としたユーザーが増えるにつれ、システムの運用負荷が高まっていくことから、その負担を軽減するための省力化・自動化機能の実装を進めていきます。
また、今後質問票や評価方法が改訂されることも予想され、その動きにあわせた評価関連の機能の見直しも適宜実施していきたいと考えています。
【JBS への評価】
信頼に足るビジネスパートナーとして引き続き手厚い支援に期待
あらためて JBS の導入支援・サポート体制に対する評価をお聞かせください。
先にも述べたとおり、当社側での事前検討から漏れていた例外パターンを洗い出して提示するなど、システム開発だけにとどまらずプロジェクトのいたる場面で JBS の貢献がありました。
また口頭でのやりとりだけでなく、詳細かつ丁寧な説明資料を用意して当社側との合意事項を確認するなど、私たちが伝えたい、わかってほしいと望む要件を決してあいまいなままにせず、粘り強く理解しようと真摯に向き合い、より良いサービスを一緒に作り上げていくという前向きな姿勢を示していただいたことに感謝しています。
サービスの実運用が始まり、ユーザーがますます拡大していく中で、今後トラブル発生など迅速な対応が求められるケースもでてくる可能性があり、引き続き JBS には手厚いサポートを期待しています。
質問票は、サステナビリティ経営の進捗を測るサスティナビリティマネジメント、環境、人権と労働、公正な事業慣行という 4つの分野で構成しています。
日経サステナブルリンクにおける質問票の大別
JBS 担当者からのコメント
初回のお打ち合わせ時に、サステナビリティセンターの方々が「これを実現したい」という情熱をもってご説明してくださったことを今も鮮明に覚えています。IT ベンダー目線からすると難易度やリスク等が高いものとして辞退する可能性もありえるものでしたが、当社が掲げる Mission(企業理念)「優れたテクノロジーを、親しみやすく」を体現できるプロジェクトだと確信し、ご提案・ご支援させていただけていることを大変嬉しく思います。
メディア・エンターテインメント事業本部 営業部
池田 翼
調査・評価・分析プラットフォームのサービス開発は JBS にとっても大変貴重な経験となり、私を含め若手メンバーにとっても大きな刺激になりました。サービス開発の難易度が高く、時には難しいシーンもありましたが、お客さまの柔軟で前向きな姿勢を受けて一緒に方針を決めながら進められたことが、無事サービスのリリースに繋がったと感じております。サービスの運営に伴い、エンドユーザーや管理者側それぞれの機能改善が必要になってくると思いますので、引き続き伴走しながら業務に従事したいと思います。
メディア・エンターテインメント事業本部 ディベロップメント部
遠藤 愛和
無事にリリースを迎えられましたことを嬉しく思います。初めて携わる領域ということもあり、当初は業務内容への理解が不十分な部分も多くありました。しかし、そのような状況の中で、お客さまに丁寧に説明いただき、システムの実現へとつなげることができました。現在、サービスの運用が始まり、運用者であるお客さまをはじめとするユーザーの皆さまから、さまざまなご意見を頂戴しています。 頂戴したご意見を真摯に受け止め、より良いサービスの提供に努めていきます。
メディア・エンターテインメント事業本部 ディベロップメント部 3グループ
竹身 裕美
株式会社日経リサーチ
代表者:代表取締役社長 新藤 政史
本社所在地:東京都千代田区内神田2-2-1 鎌倉河岸ビル
設立:1970年10月
資本金:3,200万円
社員数:209人(2024年1月1日現在)
事業概要:市場調査、社会調査、世論調査、企業調査、経済データの収集・メンテナンス、調査に関するシステム開発、コンサルティング、データ集の発行
日経リサーチ 会社ホームページ
日経サステナブルリンク・プロジェクト|持続可能性の輪をひろげ、次の社会を共創する
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2025.02.18公開